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マネジメント能力が求められる喪主

次々と葬儀社のコーディネーターから意思決定を求められる喪主には、肉親の死を受け入れる静かな時間というものは与えられない。

実態は営業マンに限りなく近い葬儀社のコーディネーターは、肉親が死亡した翌朝の8時半には打ち合わせと称して自宅へやってくる。

葬儀会場の決定から、いくつかある葬儀のグレードの選定、祭壇を飾る花の規模、通夜と告別式の規模と料理、棺のグレード、骨壷の種類の選定。
さらには、受付の数や香典返しの商品とその数、および礼状の文面。
受付係の昼食や通夜の翌朝の朝食、火葬場での昼食などの打ち合わせと称する購買行動の意思決定をせまられ、それを延々3時間近く行う。


葬儀会場でも故人を想う悠長な時間などは与えられない。
弔電差出人の名前の読み方から文面を読み上げる弔電とその読み上げる順序の決定。
弔問客への挨拶の立ち位置とそのタイミング。
実際の葬儀の際の喪主の行動パターンの教授。


始まってみれば、喪主としての次なる行動のシュミレーションに没頭する身にとっては、住職の読経は完全なBGMにほかならない。
通夜と告別式では、献杯の「いただきます」の発声をいただいた直後から、弔問客への酌と挨拶の繰り返しで、のんびりビールを飲んで亡き肉親に想いを馳せる時間なんてものはない。


喪主に求められる能力とは、まさに経営者としてのマネジメント力であると実感した。
それにしても「お忙しくて大変でしたねー」と、慰めの言葉をもらうあれは、このことだったんだなーと分かったのであった。


なお、お悔やみ記事が掲載された翌朝6時45分には告別式の様子を写真で残しませんかという電話があり、その後、連日墓石と仏壇のDMがひっきりなしに届く。
また、仏壇に線香を上げさせて下さいと引き出物の業者も来た。

by sekaihahiroi | 2012-09-27 14:39 | アニョーバの世界